「セキュリティって、難しそうだし面倒くさい…」
そう思っていませんか? 実は、セキュリティは「あなたの大切なものを守るための物語」です。
この章では、細かい技術論は抜きにして、以下の3点を直感的に理解することを目標にします。
2025年、世界は変わりました。
アサヒグループ、KADOKAWA、アスクル…。名だたる大企業が次々とサイバー攻撃に倒れ、私たちの生活にも影響が出始めました。
攻撃者は「AI」という魔法の杖を手に入れ、私たちの心の隙を狙っています。
さあ、デジタルの世界で生き残るための「守りの極意」を学びに行きましょう。
インターネットが生まれた頃、そこは性善説に基づいた平和な楽園でした。
しかし、時代と共に「悪意」が入り込み、現在では「デジタル空間の戦場」と化しています。
その変遷を少し振り返ってみましょう。
[1990年代:愉快犯の時代]
昔のハッカーは「自分の技術を見せびらかしたい」というオタクたちでした。
ホームページを書き換えて「俺がハッキングしてやったぜ!」と自慢するのが目的で、実害は限定的でした。
[2000年代:金銭目的へ]
インターネットで買い物ができるようになると、クレジットカード情報を盗む「サイバー犯罪者」が現れました。
ここからセキュリティは「ビジネス」になりました。
[2025年現在:国家・組織犯罪へ]
今はもう、パーカーを着た個人のハッカーはいません。
攻撃者は「組織」です。会社のように出勤し、AIツールを使いこなし、分業体制で攻撃を仕掛けてきます。
中には国家が支援する部隊もあり、その目的は金銭だけでなく「社会の混乱」や「インフラ破壊」にまで及んでいます。
「セキュリティ対策」と一言で言いますが、具体的に何を守れば「安全」と言えるのでしょうか?
専門家は、以下の3つの要素(CIA)が揃っている状態を「安全」と定義しています。
セキュリティの話で必ず出てくる「脆弱性(ぜいじゃくせい)」と「脅威」。
この2つの関係を理解することが、対策の第一歩です。
「鍵のかかっていない窓」のこと。
OSの不具合、設定ミス、そして「パスワードを使い回す」といった人間の油断もここに含まれます。
「泥棒・空き巣」のこと。
ウイルス、ハッカー、あるいは地震や火事などの災害も脅威に含まれます。
彼らは常に街(ネット)をうろつき、開いている窓を探しています。
🛡️ ここがポイント!
この『ULTIMATE SECURITY BIBLE』では、以下の3つのステップで、あなたを「守れる人」へと導きます。
敵の手口を知らなければ、守ることはできません。ウイルスから最新のAI攻撃まで、敵の武器庫を覗きに行きます。
パスワードの作り方から、最新の「ゼロトラスト」戦略、そしてAIを見破る人間力まで、具体的な防御策を伝授します。
一人では守りきれません。組織としてのルール作り、内部不正の防ぎ方、そして経営者が知るべき責任について学びます。
準備はいいですか?
まずは第1章で、深淵なる「脅威」の世界を覗いてみましょう。